povo(ポヴォ)

povo(ポヴォ)とRakuten UN-LIMIT Ⅵ(楽天アンリミット6)を比較/プランの落とし穴に要注意!

2021年1月29日、楽天モバイルが既存の料金プランを刷新した「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ(ラクテンアンリミット6)」を2021年4月から開始すると発表しました。

これは現行プラン「Rakuten UN-LIMIT Ⅴ(5)」からのアップグレードとなり、すでに利用中の回線・2021年4月以前の申し込み回線はすべて4月以降に「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ(6)」へ自動移行されるようです。

金額面では、楽天エリア内なら3,278円(税抜2980円)でデータ無制限という点は変わらず、4月以降はこれに加えて3GB〜20GB未満なら2,178円(税抜1,980円)1GB〜3GB未満は1078円(税抜980円)1GB未満であれば無料という段階制プランへシフトします。

ドコモ、au、ソフトバンクが相次いで格安プランを発表する中、楽天モバイルはこれらをさらに上回るお得なプランを登場させました。

大手3キャリアとMVNOは、価格の安さではもはや楽天モバイルに勝ち目がありません。

 

しかしながら、私は「価格面」だけ注目して安易に楽天モバイルへ乗り換えるのは大変危険だと考えています。

なぜなら、これまで当然の如く受けられていたサービスが、利用機種によって利用できないリスクがあるからです。

本記事ではauの「povo」と楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を徹底的に比較検証します。

双方のプランをよく理解したうえで契約していきましょう。

関連記事:「au新プラン「povo(ポヴォ)」の注意点や詳細を徹底解説!

povoとRakuten UN-LIMIT Ⅵの特徴を比較

まずはじめに、auの「povo」と楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を比較します。

※以下、全て税込です。

キャリア au 楽天モバイル
プラン名称 povo
(ポヴォ)
Rakuten UN-LIMIT Ⅵ
(ラクテンアンリミット6)
提供開始 2021年3月予定 2021年4月予定
人口エリアカバー率
(2021年1月時点)
99.9% 73.5%
(2021年夏96%目標)
契約種別 4G/5G
5Gは2021年夏以降
4G/5G
基本料金
(データ量)
2,728円
(20GB)
4段階
・3,278円(20GB〜無制限)

・2,178円(3GB〜20GB)
・1,078円(1GB〜3GB)
・無料(1GB未満)
通話/データオプション ・24時間データ無制限220円/回
・1GB追加550円/回
・5分かけ放題550円/月
・24時間かけ放題1,650円/月
なし
超過後の通信速度 最大1Mbps 最大1Mbps
パートナー回線月間5GB超過時
通話料 30秒あたり22円
(別途、オプションで通話定額可能)
Rakuten Linkアプリで無料
(それ以外30秒あたり22円)
手続き方法 オンラインのみ オンライン・店舗

 

「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」は、月額3,278円(税込)でデータ量使い放題(楽天エリア内のみ)、月間20GB未満だと2,178円、3GB未満だと1,078円、1GB未満なら無料。

もはやauのpovoどころか、データMAX使い放題プラン、その他格安SIM(MVNO)をも脅かす料金体系です。

しかもオンラインだけでなく、店頭でも受付可能という点で、圧倒的にRakuten UN-LIMIT Ⅵに軍配が上がります。

 

これだけ見ると楽天モバイル圧倒的有利?と思いがちですが、実はそれ以外の面に注意点が隠されています。

auのpovoの注意点と合わせて、しっかりチェックしていきましょう。

 

Rakuten UN-LIMIT Ⅵの落とし穴(注意点)

回線切り替えが安定しない/パートナーエリアのデータ量が無駄に消費される懸念

楽天モバイルの最大の注意点として、やはり「エリアの狭さ」が挙げられます。

楽天モバイルのエリアは、2021年1月時点で人口カバー率73.5%とまだまだ発展途上です。

楽天モバイルのエリアがカバーできていない場所においては、パートナー回線であるKDDIのエリアを利用して通信する仕様となっています。

しかし、実際に利用しているユーザーからは「楽天エリア内でも頻繁にKDDI回線へ切り替わるから使い物にならない。」「切断→再接続までの回線切り替えに20秒くらいかかるから、通信頻度が多いコンテンツが使えない。」という声も挙がっており、楽天エリア内であったとしても満足に利用できないのが実情のようです。

なお、「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ(ラクテンアンリミット6)」でもパートナー回線であるKDDI回線網で月間5GBを超過すると、最大1Mbpsの速度制限がかかるため要注意です。

このように楽天モバイルのエリア内で使っていたとしてもKDDI回線へ頻繁に自動で切り替わり、再セッションまでのタイムラグや超過してしまう懸念があるとすれば、急いでいる時はかなり不便になりそうです。

 

利用端末によってはETWS(緊急速報)非対応

楽天モバイル回線では、ユーザーが利用するスマホによっては緊急地震速報/津波警報などの緊急速報(ETWS)が非対応となっています。

特に、iPhoneの対応状況は厳しいものがあります。

例えば以下画像の通り、最新のiPhone 12(SIMフリー)でも緊急速報(ETWS)は非対応です。

利用機種にもよりますが、命を守る行動をとるべき時に重要な知らせが届かないというのはかなり危険ではないでしょうか。

 

利用端末によっては110/119などの緊急通報における高確度な位置測位不可

楽天モバイル回線では、利用するスマホによっては110(警察)/119(消防)などの緊急通報時に、GPSを用いた高確度な位置測位が非対応となっています。

例えば、先ほど例に挙げたiPhone 12(SIMフリー)も緊急通報時の高確度な位置測位には非対応です。

 

おそらく大半の方は利用した経験がないかもしれませんが、私はこれまで2回ほど緊急通報したことがあります。(110に1回・119に1回)

警察署(110)へ連絡したのは、近所の住居で下着泥棒が発生し、被害者宅に住む男性が走って犯人を追っかけているところを目撃したため、私が慌てて通報しました。

消防署(119)へ連絡したのは、仕事の帰りがけに車道で倒れている高齢者を発見し、近くを通りかかった他の救助者と協力し、私が慌てて通報しました。

 

緊急通報した際、スマホのGPSに基づいたピンポイントの位置情報が、警察や消防署に共有される仕組みとなっています。

私の場合、この仕組みのおかげで正確な現場の位置が伝わり、犯人逮捕と高齢者の救済に繋がりました。

 

…しかし、楽天モバイルの回線では、利用するスマホによっては緊急通報時の高確度な位置測位が非対応です。

つまり、万が一の事態に陥った時に110や119へ連絡しても、ピンポイントの場所ではなく、広範囲の地域しか共有されない場合があります。

私の経験上、不足の事態に陥ると頭がパニックになって現場の場所を正確に伝えることが難しくなります。

現場の町名までは伝えられても、番地・枝番・目印はなかなかパッと出てこないものです。

1分1秒を争う不測の事態に、高確度の位置情報共有システムが利用できないのは命に関わる可能性があるのです。

 

Rakuten Link(通話無料アプリ)は対応機種が限定

楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」では、通話利用時にRakuten Link(ラクテン リンク)という専用アプリを用いて、国内通話が無料で利用できます。

ちなみに専用アプリを用いない場合の通常通話料は30秒あたり22円(税込)となっています。

現時点ではAndroidスマホ/iPhone(iOS)どちらもRakuten Linkに対応しているものの、ある一定のOSバージョン以上(または対応機種)でなければ利用することができませんので注意しましょう。

詳細は以下の通りです。

 

Androidスマホについて

Androidスマホについては、Android 9以降を搭載した楽天回線対応製品であれば、Rakuten Linkを利用できます。

ただし、楽天が対応を保証している端末は決して多くはなく、公式サイトに対応製品として掲載がないスマホに関しては保証外となっています。

ちなみにAndroid版Rakuten Linkアプリは「Google Play」からインストールできます。初期設定の詳しい方法については、「Rakuten Linkの初期設定をする(Android)」をご確認ください。

 

iPhone(iOS)について

iPhoneについては、iOS 13.5.1以降(推奨)を搭載したiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone SE(第2世代)、iPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPhone 12 miniに限り、Rakuten Linkアプリの一部機能(通話と楽天エリア内のSMS)を利用できることが公式でも確認されています。

ちなみに、iPhone ⅩやiPhone 8よりも前に発売されたiPhoneではRakuten Linkアプリはおろか、通話やデータ通信自体が使えないため十分注意しましょう。

なお、仮に利用可能のiPhoneだとしても、iOSのバージョンなどによって、機能が制限される場合があります。

つまり、iPhoneユーザーは自身の判断(自己責任)で利用しなければなりません。

 

そのうえで、iOS版Rakuten Linkを利用する場合は「App Store」からインストールして利用しましょう。なお、初期設定の詳しい方法については、「Rakuten Linkの初期設定をする(iOS)」でも確認できます。

詳細については「楽天モバイル(楽天回線)でiPhoneを使う(公式)」でも確認できます。

 

Rakuten UN-LIMIT Ⅵ契約時は対応機種・対応サービスのチェックを忘れずに

Rakuten UN-LIMIT Ⅵは圧倒的な安さが魅力的なプランです。

しかし、対応機種や対応サービスが限定されているため、内容をよく理解した上で契約しましょう。

最悪の場合、利用初日から連絡が取れないという可能性も考えられます。

そうならないためにも、事前に「対応機種」「対応サービス」についてしっかり確認し、SNSなどで実際に利用しているユーザーの評判なども参考にしながら手続きを進めることをおすすめします。

要チェック:「楽天モバイル対応機種一覧(公式)

 

povo(ポヴォ)の落とし穴(注意点)

申し込み手続きはオンラインのみ!店頭や電話では手続き不可

auの「povo(ポヴォ)」はオンライン限定受付となっています。

従来のauの料金プランは店頭や電話でも受付可能でしたが、povo(ポヴォ)に限ってはオンライン専用となっているため、スマホやパソコンからしか手続きできません。

楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」はオンライン・店舗どちらも受付可能なのに対し、povoはオンライン専用という点に少し注意です。

 

ちなみに、povoの申し込みは「povo専用サイト」から進められますが、詳細については2021年3月の提供開始までに公開されるようです。

特にauユーザーは今のうちにご自身のau IDやパスワードを確認しておくと、スムーズに受付を進められるため早めに準備しておきたいところです。

 

通話料金は通常加算!通話定額はオプション制

povo(ポヴォ)の通話料金は30秒あたり22円(税込)の従量課金制となっています。

もし通話利用が多い場合は通話定額オプションを”トッピング”でき、5分以内通話かけ放題なら月額550円(税込)24時間通話かけ放題なら月額1,650円(税込)で追加することができます。

楽天モバイルの「Rakuten Link」と比較すると、”おそらく”KDDIのバンドに対応したスマホであれば定額対象となるため、柔軟に利用機種が選べる点で優れています。

 

キャリアメール非対応

いくつかある注意点での中でも、これは最大の注意点ではないかと感じています。

それが、povo(ポヴォ)に変更するとauのキャリアメールが使えなくなることです。

スマホを長く利用している方はすでにキャリアメールなんて使っていないという方も多いかもしれませんが、中には仕事や日常的に利用している方もいらっしゃると思います。

povo(ポヴォ)に変更すると、これまで使っていた「ezweb.ne.jp」や「au.com」のアドレスが消失してしまいます。

一度消失したアドレスは2度と元には戻りませんので、十分注意して切り替えていきたいところです。

一方、「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」では2021年夏頃にメールアドレスを提供する予定となっていますが、そもそも新たにキャリアアドレスを取得するユーザーがいるのか?需要があるのか?は疑問が残ります。

 

5G対応は2021年夏

povo(ポヴォ)は、auの4G/5Gどちらのエリアでも使えるプランですが、5Gエリアに限っては2021年夏に対応予定となっています。

すでに5Gスマホを利用している方は、2021年3月にすぐに変更したとしてもおよそ半年間は5Gエリアの高速通信が利用できず、対応までは4G通信しか使えません。

料金の安さに目がいきがちですが、ここは案外大きな落とし穴ではないかと感じています。

 

端末セット販売なし

現時点でpovo(ポヴォ)では、端末の販売やセット販売は検討していないようです。

「すでにKDDIで誰でも端末を購入できる形で提供していること」または「市場にSIMフリースマホが流通していること」などの背景から、ユーザー側が端末を用意する仕組みをとっているようです。

しかしながら、KDDIの髙橋誠社長は「ユーザーのニーズ・要望を聴きながら端末販売する可能性もある」とも語っています。

 

povoの詳細は続報を要チェック

povoは2021年3月の提供開始予定ですが、現時点では細かいところが未定となっています。

これから詳細が続々明るみになってくるため、続報をしっかりチェックしながら吟味していきたいところです。

関連記事:「au新プラン「povo(ポヴォ)」の注意点や詳細を徹底解説!

 

povoとRakuten UN-LIMIT Ⅵの注意点比較まとめ

それでは、auの「povo」と楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の注意点(落とし穴)をまとめます。

povo Rakuten UN-LIMIT Ⅵ
・手続きはオンラインのみ
・通話定額はオプション制
・キャリアメール非対応
・5G対応は2021年夏
・端末セット販売なし
・回線切り替えが安定していない
・利用端末によってはETWS(緊急速報)非対応
・利用端末によっては緊急通報時の高確度な位置情報測位に非対応
・Rakuten Link(電話アプリ)は対応機種が限定的

両プランとも、強みと弱み、光と影のような部分があります。

povoはRakuten UN-LIMIT Ⅵよりも割高ですが、対応機種やエリアは幅広く使えそうです。

一方、Rakuten UN-LIMIT Ⅵはpovoよりも割安ですが、利用機種やエリアによっては諸刃の剣、といったところでしょうか。

結局はユーザーである私たちが”どう判断するか”です。

 

さいごに

今回はauの「povo」と楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の注意点(落とし穴)に焦点をあてて解説しました。

ここまでインパクトの強いプランだとキレイに光る”価格”や”魅力”に目移りしてしまいますが、その光が強ければ強いほど「影」や「裏」も存在します。

本記事をお読みいただいたユーザーの皆様には「影」の部分、つまり”落とし穴”にハマって欲しくないため、このような方針でまとめました。

私自身、「povo」と「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の特徴を深く確認しましたが、結局のところ、どちらが良い悪いは判断できません。双方に一長一短あるからです。

結論としては、実際に利用するユーザーの利用機種、お住まいのエリア、環境などによってご判断いただきたいと思います。

本記事が、格安プランを検討している方の一助になれば幸いです。

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