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なぜauはeSIM(イーシム)やeKYC(イーケーワイシー)を導入しないのか?

2020年11月4日、楽天モバイルがeKYCによるオンライン本人確認システム「AIかんたん本人確認(eKYC)」の導入を発表しました。

このサービスはAndroid向けには11月9日から、iOS向けには11月30日から開始され、『使い始めたいと思ったその日にオンラインで開通できる』と楽天モバイルの担当者は訴えています。

ショップに行く手間や手続き時間が圧倒的に短縮できる利便性から、いずれeSIMとeKYCは業界スタンダードとして普及していくと考えられますが、auでは未だeSIMすら導入されていないのが現状です。

一体、なぜでしょうか?

本記事では、eSIM(イーシム)やeKYC(イーケーワイシー)の詳細、auがこれらを導入していない背景や、将来のモバイル業界のあり方について考察します。

eSIMとeKYCを理解する

本題に入る前に、「そもそもeSIMって何だよ?」「eKYCって何だ?」という方もいらっしゃるかもしれませんので、それぞれの特徴や仕組みについて解説します。

eSIM(イーシム)とは?

そもそもeSIM(イーシム)とは「embedded Subscriber Identity Module(埋め込み型加入者認識モジュール)」の頭文字をとった略称です。

小さなチップ型のカタチをした物理SIM(シム)とは異なり、eSIMはスマホ本体にあらかじめ埋め込まれたタイプのSIMです。

スマホが出荷される時点ではeSIMに携帯電話の固有情報(番号やプランなど)が書き込まれておらず、あとからeSIMが埋め込まれたスマホを操作し、QRコードの読み取りや専用アプリのインストールなどによって「プロファイル」と呼ばれるデータをダウンロードしてeSIMへ書き込むことで、電話やインターネットなどの通信が利用できるようになるのが特徴です。

つまり、いつでもどこでも契約を申し込むことができ、手続き当日にすぐにSIMを使い始められる手軽さが売りです。

そのほかにもeSIMには以下のような利点があります。

eSIMのメリット
  1. キャリアを乗り換える際のSIM差し替えの手間が不要(店舗に行く必要がない)
  2. SIM認識不良などによるトラブルや故障リスクが少ない
  3. 複数キャリアを契約していても1台の端末で手軽に切り替えできる
  4. 物理SIMと同時にeSIMを利用可能な機種では、ひとつの端末で複数の回線を使い分けることが可能となる

 

eKYC(イーケーワイシー)とは?

eKYC(イーケーワイシー)とは、「electronic Know Your Customer」の頭文字をとった略称で、日本語に直訳すると「電子的に顧客を知る」という意味です。

もともと「KYC」という言葉は銀行口座開設などで必要になる本人確認手続きの総称として使われていたようですが、その言葉に「electronic」が付くことによって、「電子(オンライン)での本人確認」という意味を指しています。

 

国内の携帯キャリアでは「電気通信事業法」によって契約時に法で定められた本人確認を行うことが義務付けられていますが、実はauオンラインショップではすでに「本人確認書類(運転免許証など)」をアップロードすることでオンライン上の本人確認を行っています。

しかし、これだけでは本人確認は不十分のため、商品到着時に配達ドライバーへアップロードした本人確認書類を提示し、住所の所在確認をしなければなりません。(代理人による受け取りはNG)

一方、eKYCでは「本人確認書類」とあわせて「本人の容貌の画像」を追加確認することで所在確認を不要とし、eSIMと合わせて「SIMカードの即日発行」ができるようになっているのです。

「本人確認の手間が短縮できる。」これこそがeKYCの最大の利点ですが、auではまだ古いオンライン本人確認システム(本人確認書類+所在確認)のままなのです。

 

先述した通り、楽天モバイルでは早くて11月9日にもeKYCによる本人確認システムを導入し、eSIMとの連動で申し込み当日にすぐに契約を使い始められるようになります。

導入コストもそこまでかからないと推測できるため、auでも早期に導入して欲しいものです。

 

なぜauはeSIMやeKYCを導入しないのか?

こんなに便利な「eSIM(イーシム)」や「eKYC(イーケーワイシー)」を、なぜauでは導入していないのでしょうか。

その理由は、

  1. eKYCを導入していないのは「eSIM」を導入していないから
  2. eSIM対応端末が限られているから
  3. ユーザーが他キャリアへ流出することを不安視しているから

以上のどこかに隠れているのではないかと考えられます。

それぞれの理由を考察していきます。

eKYCを導入しないのは「eSIM」を導入していないから

現状、auがオンラインショップによる本人確認を「確認書類」だけで済ませて、「本人の容貌の画像」ではなく「ドライバー配達時の所在確認」に頼っている理由は、

そもそもeSIMを導入していないことによる本人確認を即日行う必要性が無いからだと考えられます。

もしauがeSIMを導入するとなれば、即日発行を実現するために本人確認を1回の手続きでワンストップ化する必要性が出てくるのですが、現状、auではeSIMの導入がなく、注文後に指定住所へ物理SIMを直接配送する方式に頼っています。

つまり、申し込み〜利用開始までに配達員が必ず関わることが理由でeKYCを導入していないと考えられます。

配達ドライバーの負担軽減、または商品受け取り時に代理人でも受け取れるようにするために、eSIMの導入有無に限らずeKYCを導入して欲しいところですけどね。

 

eSIM対応端末が限られているから

auがeSIMのサービスを展開しない理由のひとつとして「eSIMに対応したスマホが少ないから」という可能性も考えられます。

具体的には、一定時期以降に発売された海外メーカーの製品にはeSIMに対応しているスマホが多い一方、国内メーカーのスマホはeSIM非対応製品が大半です。

(もとより、国内メーカースマホにeSIM非対応製品が多いのは、国内キャリアがeSIM導入に消極的だったという背景が大きく影響しているからですが…)

このような理由で足並みにバラつきがあるため、eSIMが導入されていない(むしろ作られていない)と考えられます。

 

他キャリア流出が不安だから

auがeSIMのサービスを展開しないもうひとつの理由は、手続きを簡素化・効率化することによって生じる「他キャリアへの流出」を懸念しているから。

言い換えると、「ユーザーを囲い込みたいから」だと考えられます。

もし大手キャリア各社でeSIMが利用できるようになれば、ユーザーとしてはショップに行かずとも自宅にいながらすぐに手続きを完了できるため非常に便利です。

しかしキャリア側から見ると、その手軽さゆえに他社への転出手続きに歯止め(ブレーキ)がきかず、どんどん外へ流れてしまうことが懸念されます。

また、ショップを運営する代理店としても、ユーザーの来店頻度減少によって売り上げが減ってしまうことが懸念されます。

auがeSIMの導入を渋っている理由はまさにそれでしょう。

 

総務省のアクションプランに期待したが…

総務省は2020年10月27日に発表した「アクションプラン」にて、eSIMの促進(来夏までに指針を公表)を通信事業各社へ指示しました。

 

出典:総務省「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」

 

がしかし、その3日後の2020年10月30日に、KDDIはeSIMとオンライン特化のMVNO新会社「KDDI Digital Life」の設立を発表しました。

総務省としてはeSIMの促進でモバイル市場の活性化を狙っているわけですが、見事にKDDIは別会社によって「身をかわした」わけです。

もちろん、今後auでもeSIMが導入される可能性はゼロではありませんが、総務省のアクションプラン発表直後ということもあり、がっかりしたauユーザーは多いのではないでしょうか。

auユーザーとしては、プランの値下げにしろ、eSIM導入にしろ、グループ会社へ退避することは決して望んでおらず、メインキャリア「au」での実現を心待ちにしているところです。

それにも関わらず、総務省が「よく値下げしましたね!お利口!」と言わんばかりにUQモバイルの値下げプラン(スマホプランV)を褒めていたのは、なんだか茶番を見せられた気がしてなりません。

auによるeSIMの実現はまだまだ先になるのでしょうか。。

 

eSIMやeKYCの未来

とは言え、いずれauもeSIMやeKYCを導入する未来が来ると私は信じています。

その背景には「楽天モバイルの革命」と「国際競争力」が大きく影響していると思うからです。

 

冒頭でご紹介したように、楽天モバイルは2020年11月4日に「eSIMとeKYC」を組み合わせた新しい手続きの基準を発表しました。

過去にソフトバンクが「ソフトバンク同士なら通話タダになる”ホワイトプラン”」を発表して他社が追従したことや、今では誰とでも通話し放題のプランが当たり前になっているのと同じく、

eSIMによる契約手続きの簡素化は業界スタンダードとして足並みが揃えられると思います。

 

また、近い将来、東京五輪の開催や新型ウィルス縮小によるインバウンド復活に伴い、外国人入国によるeSIM需要が増えてくることも予想されます。

日本から海外へ行くときは現地のeSIMを大手キャリアで簡単に契約して利用できるものの、海外から日本へ来た人たちは大手キャリアのeSIMを契約できないのが現状です。

これでは国際競争力で日本の通信キャリアは劣ったままです。

こうした矛盾を解消し、使いやすいモバイル環境を整えることもauに課せられた使命なのかもしれません。

 

いずれにせよ、auのeSIM早期実現とeKYC導入を願うばかりです。

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